2009-01-01から1年間の記事一覧

第42回 大分・臼杵城下町  冬本番の町に♪早春賦の調べ

年末寒波にふるえあがっている。肩叩く落ち葉に来年の再会を約束した晩秋の余韻に浸っていると、冬本番である。もう1カ月もすれば、暦は早春になる。このごろ、時間は年齢によって異なり、加齢とともに時計の針は早く回るように思えてならない。朝おきれば…

第41回 北野天満宮で露店めぐり  寅さんはどこに行った   

師走を前に早くも正月のおせちのチラシが届く。デフレ宣言の世は、どこよりも安いが売りだ。3年前、豪華さを競った正月料理チラシも様変わりしている。肩たたく落ち葉に誘われて、京の町を歩いた。どこも車と人の混雑に、同じ人波なら、天神さんがいい、と…

第40回 旅の記憶 筑後川を日田から阿蘇 ダムの歴史をたどる -その2

九州の山里に根付く共同体、地域重視の思想は、このあとに訪ねる壮烈なダム反対の抵抗運動にも流れ、感慨を深くしたことを覚えている。日田からダムの旅は佳境にはいる。国道212号線を阿蘇へ向う。川は玖珠川と大山川に分かれ、東に行けば大分である。大…

第39回 旅の記憶 筑後川を日田から阿蘇 ダムの歴史をたどる -その1

政権交代で八ツ場ダム(群馬)と川辺川ダム(熊本)が脚光をあびている。 いずれも計画から40年を経過しながら、完成に至らないダムだ。この両ダムの半世紀におよぶ歴史は、日本のダム建設の経過のみならず、問題を浮き彫りにしている。今回は、旅のメモ、…

第38回 八幡さんの発祥の地、宇佐神宮へゆく

〜大陸と土着の文化が生んだ神仏習合のふるさと〜 東京や京、大阪に住んでいると、大陸との距離が実際以上に遠いと、感じがちだ。だから、福岡からプサンまでの距離がわずか200キロ、福岡―広島間と変わらないと、聞いて、驚く人が大半である。福岡―プサン…

第37回 相変わりませずという京の食彩歳時記 その3

「つの字のハモ」の故郷をゆく (後) = 福良から由良まで、またバスに乗った。旅は一直線、乗り換えなしの便利さが客を呼ぶ。旅のデジタル化が進んでいる。しかしハモの話を聞きながら、歩いてみると、つなぎの悪い、淡路のぶつ、ぶつになった交通機関をつ…

第36回 相変わりませずという京の食彩歳時記 その2

「つの字のハモ」の故郷をゆく (前) = 土生(はぶ)は、紀淡海峡に面した小さな港町である。淡路の中でもはずれにある。沖合に島が浮かぶ、沼島(ぬしま)。太平洋から大阪湾に向かう貨物船が行き来する紀伊水道のちょうど蛇口に位置している。土生から沼島ま…

第35回 相変わりませずという京の食彩歳時記

−−つの字の「ハモ」その1−− 京都では、相変わりませずというあいさつが、親戚、ご町内改まった日、場所での決まり事になっている。戦乱の時代を生き延びた町衆たちの、これからもよろしくと、希望を込めたあいさつであり、また浮き沈みの激しい商売人が今後…

第34回 ワンニャン虹の旅

我が家には3匹の猫がいる。外には犬の散歩同様にひもつきで連れて歩く。慣れると、犬に出会っても平気で、2匹はメィクーンの大型猫のため、小さな犬など3匹の威勢に押されて、怖がるほどだ。というわけで永世猫当番の身の日課は猫とともに始まり、終わる…

第33回 このたびは、幕末日本を流行病が

長崎から列島縦断の史上初の「ハシカの旅」 時代の変革期には、いやな病が流行る。新型インフルエンザに関西はいささかあわて気味であるが、維新前夜の日本ではハシカが猛威をふるった。九州から東北まで駆け抜けたハシカは、薩摩藩の大名行列が運んだといわ…

第32回  逢坂山の妖怪か仏か -- 絶世の美女の超高齢晩年の姿 --

色んな旅もある中で、これほどロマンと怪奇・神秘にとんだ旅はないと、自負している。平安前期の歌人、小野小町の晩年の姿を訪ねる旅である。36歌仙のひとりで知られる小野小町は、在原業平と和歌の贈答をしているが、紀貫之は歌風万葉の清純さと王朝浪漫…

第31回 桜が咲くと筍の季節 〜京のタケノコは色が白くてやわらかい〜

福岡が全国トップで桜の開花の知らせには、いささか驚いた。確かに今年は早い。桜とともに、土中からタケノコがもっこり顔を出す。ブランド、日本一が好きな京都はタケノコもしかりである。タケノコが産地によってどんな違いがあるのか。竹薮があればタケノ…

第30回 大正ロマンの石塀小路

-- 靴音追いかける石畳の男と女の道 -- 隠れ里というのは、戦国期を舞台にした時代劇や横溝正史の小説に登場する定番である。ところが隠れ町に関しては、あまり耳にしない。その隠れ町を歩いてみるのが今回の旅である。場所は京都。昼間ならまだしも、夜とも…

第29回 熊本城下に見る武蔵と「阿部一族」

熊本城下は道が曲がりくねり、途中でどちらを向いているのかわからない。山、城が見える位置ならともかく、町の中はあわてることがしばしばだ。そのややこしい道を市電と車がさからうことなく走っている。市電の速度は車にひけをとらない。電車内で武芸稽古…

第28回 四国のこんぴら(金毘羅)参り   

伊勢参りのあとは四国のこんぴらさん。伊勢、善光寺とともに庶民が一生に一度は行きたい参詣は江戸時代から続く。明治までは神仏一体の信仰の地として爆発的な人気があった。奥宮までの石段は1368段を数える。上る道中で、いつも、石段さえなければと思…