2010-01-01から1年間の記事一覧

第52回 『マレビト』来たりて  能登の海と折口信夫

今年もあとわずか、新年が必ず来る。旅の一年の終わりと始まりをどこにするか迷うところだ。国内に限らず、旅して、海や山、川を前にして「われわれはどこからきたのか」と、ふと、思うことが多くなった。古希まで2年の年齢が感傷を呼ぶ。あるいは「もっと…

第51回 仏像の源流をゆく その2 インド・マトウーラ

ガンダーラが先か、それともマトウーラのほうが早いのか、仏像誕生をめぐる学術論争は、決着していないが、インドでは当然ながらマトウーラ説が定着している。しかし、疑問も多い。「ほぼ同時期に仏像は両地域で生まれた」とする見解が研究者の間では主流に…

第50回記念 仏像誕生の旅その1 ガンダーラをゆく 

この企画は始めてから50回を数える。1年のつもりが2年、そして3年というぐあいに延びてここまできた。ステアク江口編集長やアクセス数のバックアップあればこそ、と感謝している。今回は50回を記念して仏像の源流をたずねたい。安土城の回で仏像に誕…

第49回 球音と絵画が伝える戦争の爪痕

『君を亡くしただけでも戦争は悲惨である』 (サトウ・ハチロウ) 猛暑である。8月は戦争を語り継ぐ旅にしたい。戦争の舞台でなく、家族や恋人、友人たちの思い出の中に生き続ける青春と、鎮魂への思いを伊勢、信州の旅のメモから綴った。 沢村栄治。不世出…

第48回 来年の大河ドラマ舞台をゆく  その2

〜織田信長、安土で天下布武〜 琵琶湖畔に築城、城下にイエスズ教会の鐘 織田信長は浅井長政の小谷城を落とした1573年(天正1)、室町幕府足利義昭将軍を追放するが、もともと義昭は上洛した信長によって兄の義輝の後継になるも信長にとって傀儡にすぎ…

第47回 来年の大河ドラマの舞台をゆく  その1

**茶々、初、江の故郷、近江・小谷城跡から安土へ** 来年のNHK大河ドラマは、幕末から戦国、江戸時代初期に舞台を移し、浅井長政、市の子ども、三姉妹の三女・江が主役になる。秀忠妻として三代将軍家光を生み、娘千姫は豊臣秀頼に、和子は天皇家(後…

第46回 トンネルをくぐれば清滝・山峡の宿

〜旧制三高生が下駄音響かせた青春の鼓動〜 桜の季節が終わり、さぁどこへ行くか。新緑を求めて清滝を選んだ。京は緑の名所に事欠かない。散りゆく桜のあとは萌える山里だ。清滝といえば紅葉というのが観光ガイドの定番になるが、新緑の頃がいい。人出も少な…

第45回 春がきた  渦潮におどる桜鯛

春がきた。どこにきた。鳴門の渦にきた。 お水取りが終わり、予想通りにぽかぽか陽気になった。桜の開花も早くなりそうで、瀬戸内はイカナゴ漁から鯛の季節を迎える。長崎・五島列島産の魚が一目置かれる京の錦でも、鯛だけは明石が別格であった。もともとは…

第44回 凛として奈良  東大寺お水取りと修二会の花

京の冬も寒いが、奈良はそれ以上に冷え込む。奈良観光も2月の平日は、これが奈良かと思うほど閑散としている。奈良公園内の鹿も木も、興福寺の塔すら凛としている。ところが、2月末から人の動きが頻繁になり、3月の声とともに奈良はお水取りの季節を迎え…

第44回 凛として奈良  東大寺お水取りと修二会の花

京の冬も寒いが、奈良はそれ以上に冷え込む。奈良観光も2月の平日は、これが奈良かと思うほど閑散としている。奈良公園内の鹿も木も、興福寺の塔すら凛としている。ところが、2月末から人の動きが頻繁になり、3月の声とともに奈良はお水取りの季節を迎え…

第43回 オランダの宮殿、町を佐世保に再現

〜長崎ハウステンボスに見る壮大なまちづくりの光と影〜 テーマパークの苦戦はバブル崩壊後、いわれて久しい。東京デズニーランド、デイズニーシイの好調のみが際立っている。そのテーマパークの先駆けが長崎ハウステンボスである。当初は運営会社の長崎オラ…