2011-01-01から1年間の記事一覧

第62回 京都焼き物の町、五条坂

〜炎は消えても、されど登り窯〜 牛若丸と弁慶の歌に出てくる五条大橋を渡ると、道幅は8車線になる。京都では最大の道幅の通りが広がる。鴨川の東はなだらかな坂道が続き、五条坂の名がある。ここから清水寺につながる清水道までを五条坂と呼んでいる。京焼…

第61回 備中・吹屋のふるさと村をゆく

〜日本最古の現役木造小学校で時の流れをとめた〜 小学校の同窓会の通知が届いた。卒業して何年になるか。55年か56年か、どちらかだろう。幹事も歳月を数えることに疲れたのかも知れない。年を取るにつれて同窓会の集まりがよくなった。翌年には、出席者…

第60回 大震災から半年、叡山から、はるか東北をのぞむ

〜最澄に思想的転換をもたらした奥州・心の旅〜 京阪電車石坂線はうなぎの寝床と呼ばれる、細長い大津を北端から南端まで伸びている。北の駅が坂本だ。南、正確には南東になる駅は石山寺である。途中に三井寺がある。比叡山は地元にいると、毎日ながめる風景…

第59回 松本清張を歩く その3 古代史・邪馬台国の風景

松本清張から歴史は切り離せない。清張は現代史と古代史を好んで書いた。その理由を聞かれた清張は「古代史は資料が少なく、現代史は多すぎて整理されていないから、いずれも空白がある。歴史は推理の愉しさがなくてはいけない」と、答えている。 清張は朝日…

第58回 松本清張を歩く その2 政治の風景

清張描く旅の風景に続いて、清張の見た「政治の風景」を書く。ところで清張が作品や評論の場以外で、生の政治にコミットしたことがあった。 1974年(昭和49)の創価学会と日本共産党のいわゆる創共協定である。当時の池田大作会長と宮本顕治委員長の間…

第57回 松本清張を歩く その1 旅の風景

雨時は、しかたなく本の整理をする日が多くなった。むろん、進んでするわけではない。 「風呂屋の大桶」こと、猫も含めて衆目の一致する妻の業務命令だから、拒否できない。風呂屋の大桶とは、「湯(言う)ばかり」が落ちだ。 文庫本の中に清張シリーズがど…

第56回 京都西陣の散策 歴史と生活の匂いがする町

京都をゆうっくり歩くのは、この連載を始めた頃いらいである。選んだ界隈は西陣。古いロージ(路地)に新しい店がオープン、面白くなってきた。呉服が売れているわけではない。かつて商売人しか会わなかった町に観光客がそぞろ歩きを楽しむ。飲食店、ファッ…

第55回 やすらいの花、桜吹雪に被災地思う  荒城の月と豊後竹田・岡城址

関西では桜が散り始めた。京都では桜の散る頃、今宮神社のやすらい祭(4月第2日曜)がある。鞍馬の火祭り、太秦の牛祭りと並ぶ京の三大奇祭の名があるが、平安期の春、大水の後に疫病が襲い、災害と疫病払いの鎮花祭が始まりである。散る桜に昔の人は疫病…

第54回 瀬戸内から南予へ、予讃線の旅

〜「寅さん」の大洲から闘牛の宇和島〜 春は九州新幹線全線開通が旅の目玉になっているが、混雑を避け、北海道とともに新幹線ルートのない四国在来線で南予・宇和島へ向かった。坊ちゃん風にいえば生まれついてのへそまがり、流行の逆を行く。一直線のデジタ…

第53回 「お江」のふるさと近江・湖北

==東西政治と文化がせめぎあう関ケ原== 浅井三姉妹の末娘、江が主人公のNHKの大河ドラマが新年からスタートした。彼女の生まれた小谷城など湖北の舞台は初回で終わり、これからはドラマの節々での登場になるだろう。ドラマの性格上、歴史や背景説明に…