2015-01-01から1年間の記事一覧

第119回 江戸の奇想の画家・若冲を歩く

〜日本画の因習を破ったユルキャラの元祖〜 10年前、2006年のことである。東京国立博物館は長蛇の列が続いた。「若冲と江戸絵画展」の入場者は主催者も驚く1日6500人に達した。英国の美術専門誌は一日の入場者として世界NO1 の展覧会と紹介した…

第118回 奈良・秋篠寺をゆく

〜謎めいた日本唯一の伎芸天女像〜 秋篠寺は平城宮跡、都の西北にある。近鉄奈良線の西大寺駅から歩いて10分ほどで着く。バスもあるが、乗ってすぐに降りるため、慌ただしく、ここは晩秋の道を歩くに限る。女性にはだんとつの人気で、道筋で出会う人の列も…

第117回 ローカルでローカルな近江鉄道

〜タイムスリップでゆく沿線風景〜 近頃は昔話が楽し くなった。後ろ向きなどという偏屈もいるが、古希を過ぎて前途が開けているわけでなく、振り返れば君がいたあの昔である。近江のコメどころ、湖東平野は天 智天皇の時代から織田信長まで日本史の枢要なペ…

第116回 『孤高の人』ふるさと但馬をゆく

〜厳冬の山にひとり挑み、山に消えたアルピニスト〜 なんでも詰め込みの引き出しを整理していると、古い写真の束がでてきた。新聞社にはいって間もない頃の京都・北山の写真で一緒に写っていたのが、3年先輩の Mさん。Mさんは、当時、下宿の帰り道が同じ…

第115回 暗殺後に幕府、息子、家臣から排斥された井伊直弼

〜藩論二転三転して徳川に引導の彦根藩の幕末〜 彦根へは年に何回かはでかける。彦根城と周辺散策、さらには湖東三山めぐりの帰りに立ち寄ることもある。9月は城の庭、玄宮園で虫の声を聞く風流な催しが開 かれ、虫の声を聞きながら、茶人直弼をしのんでい…

第114回 世界で唯一の淡水湖の集落、沖島をゆく

〜琵琶湖最大の島で人と猫が共生〜 夏の終わりに琵琶湖で久しぶりに泳いだ。10年前、次男とダブルスカルで瀬田川から近江大橋まで漕いだことがある。風が強く、艇は沈(ちん)して真冬の琵琶 湖を泳ぐ経験をした。それ以来の水泳である。琵琶湖は周囲23…

第113回 戦後70年を旅する

〜京都学派「近代の超克」から現代への思想の流れ〜 1995年(平成7)、 西域・中国取材の連載を終え、一息ついた私に戦後50年の企画担当デスクが回ってきた。日本はどこでどう間違ってあの戦争に突入したのか、連載企画を始め るにあたり、資料読みか…

第112回 日本三大車窓「姨捨」の風景

〜されど青いリンゴの篠ノ井線をゆく〜 「旅鉄」(たびてつ)に目的地はない。あくまで車窓、駅、レール、車内が旅の目的になる。駅弁も入れる必要がある。さらに途中下車しての散策も旅鉄の楽しみだ。 大糸線のフォッサマグナの旅は、地球の歴史をたどる冒…

第111回 北アルプスの麓で刻まれた愛の相克と女像

〜大糸線でフォッサアマグナをゆく〜 大糸線の車中の人になった。大糸線は松本と新潟の糸魚川を結ぶローカル線であるが、アルピミニストにとっては夏冬、通いなれた山の銀座線。6月の信州は緑 が光り輝き、まぶしい。松本駅を発車の車窓の進行左にはまず端…

第110回 池波正太郎を歩く

〜京都に江戸を見た鬼平こと長谷川平蔵〜 TVで鬼平シリ−ズがしぶとく放映されている。CSでは古い作品、BSは比較的新しい。毎度おなじみの筋立てであるが、ひきこまれていく。江戸が舞台。と ころが新しい作品は京都、近江八幡ロケになっている。東京で…

第109回 荘厳に涙の播磨・浄土寺阿弥陀三尊像

〜仏像背後から照らす落日の余光〜 姫路の帰りに、立寄りたい寺があった。JR加古川駅で加古川線に乗り換え、粟生へ向かう。加古川線は福知山と播磨を結ぶローカル線で加古川沿いを北へのぼっていく。粟生は田園地帯の中にあり、北条電鉄と神戸電鉄が乗り入…

第108回 50年ぶりの姫路・白鷺城

〜蒼空に羽ばたく世界遺産の威容再び〜 駅から北に真っ直ぐな道が城へ続いている。天守を見上げながら大手門に近づく。しかし、築城時はもとより、江戸時代は城下から大手門まではまっすぐな道ではなかった。まがりくねっている。城下特有の道だった。 先の…

第107回 サクラ前線に乗って関西本線をゆく

〜大阪―奈良―名古屋を結ぶ歴史の鉄路〜 * 関西以外のひとにはほとんどなじみがないのが大阪―亀山―名古屋を結ぶ関西本線である。鉄道フアンが沿線の歴史と風景に魅せられ、通い詰めるローカル線だ。日本の東西をつなぐJR東海道線、名神高速は京都を通るため…

第106回  小京都津和野をゆく

〜 文豪鴎外の故郷と城下に秘めたキリシタン殉教〜 3月の声を聞くと、(乗り鉄)の虫がさわぐ。青春18キップが発売されるからだ。JRは春と夏、12月の3回しか発売しない。学生の休みに合わせた措置そうだが、いまどきの学生が青春18をどこまで利用して…

第106回  小京都津和野をゆく

〜 文豪鴎外の故郷と城下に秘めたキリシタン殉教〜 3月の声を聞くと、(乗り鉄)の虫がさわぐ。青春18キップが発売されるからだ。JRは春と夏、12月の3回しか発売しない。学生の休みに合わせた措置そうだが、いまどきの学生が青春18をどこまで利用して…

第105回 湖国に春の訪れ

〜香り満喫,長浜まち歩きと日本一の梅盆展〜 頃は立春、外は雪が舞う。私の住む琵琶湖湖畔では春は盆梅で始まる。梅林の花は3月 の声を聞くまで、香りを蕾の中にしまい込んでいるが、すでに満開なのが長浜梅盆展である。町はどさっと雪をかぶっている。長浜…

第104回 人波かきわけ京都初弘法

京の新春のにぎわいは21日の東寺・初弘法。弘法大師の月命日にちなみ、境内から門前までありとあらゆる露店が軒をならべる。この露店、いずれもプロ、店を 持ち、弘法さんに出張してくる。人気は骨董品。プロや目利きは朝早くから掘り出し物を求め、素人は…