2012-01-01から1年間の記事一覧

第74回 新春を歩く心の旅  「謙譲の美徳」を訪ねて  

「謙譲の美徳」の名で知ら れる岩場を尋ねるため、秋晴れの10月末、西武池袋から飯能行電車に乗った。ひさしぶりの東京。行く先は秩父連山の岩場である。「謙譲の美徳」と目的地で ある秩父の岩場の関係は電車の進行にあわせて説明していくが、学生時代、…

第74回 新春を歩く心の旅 

第73回 日本銘茶紀行  味と歴史の風景をたずねる

茶畑の景色でどこがいいか、と尋ねられ、思いつくまま、日本平の茶畑と富士山が一番、と答えたことがある。日本平は、ご存知、「旅姿三人男」の歌に出てくる 清水市北の高原地帯を指し、「お茶の香りと男伊達」の土地柄だ。清水エスパルスのグランドのある競…

第72回  茶の湯の源流をゆく その3 

利休後の茶の湯 一期一会 利休によって完成した茶の 湯の後継は、利休七哲(弟子)の一人古田織部が担った。古田織部は美濃・下巣の城主の子どもに生まれ、17歳で信長に仕え、武将の道を歩く。利休が秀吉か ら堺に蟄居を命じられ、京を去る利休を見送った…

第71回 お茶の旅 喫茶、茶の湯の源流をゆく その2 

侘びさびのこころ 平城京の東にあるのは大仏殿の東大寺、西はいうまでもなく西大寺である。 近鉄駅奈良線の大和西大寺駅の 南口を降りて300㍍歩くと、真言律宗西大寺東門に着く。天平年間に女帝、称徳天皇の発願で創建され、寺域は約31万平方㍍におよん…

第70回 お茶の旅 その1  日本の喫茶、茶の湯の源流をゆく

朝晩、やっと、しのぎやすくなった。夏の間、おっくうで、だるい、寝不足の体に幾分、生気が戻り、朝の茶の一服がすみずみまでいきわたり、心のゆとりさえ運んでくる。 おきまりの猫の食事、トイレの掃除、散歩をすませたあとの茶は格別だ。これにはタバコも…

第69回 猛残暑に京氷室の里をゆく  夏を過ごす先人の知恵にどっぷり浸る

京の夏は大文字で終わる。ところが京の残暑は厳しく、気温が全国1を記録するのは8月末だ。大文字の16日、夜の点火までの時間つぶしに「船」形の裏にある氷室へ足を伸ばした。氷室は北区の奥にある山里である。鷹ケ峰から5キロの道。光悦寺を過ぎ、車の…

第68回 高瀬川  京情緒をたたえ NOWな流れ

京の梅雨の散策 には高瀬川、と決めている。二条から七条までの高瀬川は橋ごとに風景を変えていく。維新の舞台からオープンカフェ、簾だれ越しの料理屋。柳と桜並木が流れ を包み、京情緒をたたえている。人気の外国人の素泊まり宿もこの川沿いだ。高瀬舟の…

第67回 我輩は猫でない、猫である ②

ベ テイの脱走趣味は、止む気配はない。重いガラス窓を両手をつかい、挑戦している。ロックがかかっていても、あきらめない。たまにロック忘れがあれば、ガラ ス戸を開け、我輩らも脱走のおこぼれにあずかるが、遠出はしない。庭の周りをうろつき、頃合を見…

第67回 我輩は猫でない、猫である①

(GW明けは旅疲れもある。普段からGWの日々であるが、そこに巷の大型連休がかぶさり、ぐったりしている。今回と次回は旅を離れ、我が家の猫に登場を願った) 我輩はこのインド哲学的命題を生まれてこのかた背負い、追究して久しい。この家に来てから、1…

第66回 平清盛の夢世界 厳島神社の高舞台

NHK の大河ドラマの平清盛は、源平の戦いの前哨戦の段階であるが、平安期のドラマの難点である時代考証と舞台づくりで苦労している。大河ドラマの江戸、幕末は 概ね好評を得ている。私は脚本もさることながら、舞台づくりが作品のできばえを左右すると思…

第65回 鎌倉歴史の旅 暗闘といぶし銀の輝き 津波に耐えた長谷大仏

逗子開成のボート遭難に続いて、今回は鎌倉の歴史の旅をしたい。前回も書いたが、私は学生時代、航空部に所属しグライダーに乗っていた。最初の飛行が藤沢飛 行場から江ノ島、鎌倉を眼下に、西に富士山をのぞむ周回コースだった。藤沢飛行場はいまはないが、…

第64回 歌の旅   ♪♪「真白き富士の根(嶺)」と「琵琶湖哀歌」♪♪

今回は歌の旅である。私のスポーツ歴は、高校でボートを漕ぎ、大学でグライダーに明け暮れ、合宿所のある利根川畔と練馬の下宿、大学の池袋を行き来した。 京都の地元紙に就職して琵琶湖から流れる瀬田川沿いに住むようになり、再び、オールを手にしている。…

第63回 新春 心の旅 〜出雲の国にさすらいの神を訪ねる〜

サスライという言葉から連想するのは、知らない国を行方定めず歩く。これが私の若い頃からのイメージである。しかし、現実には、旅はしてもさすらいとはかけ離れた目的地のある旅だった。そのためか、さすらいと聞くたびに心の底に沈んでいる青白き塊が反応…