2013-01-01から1年間の記事一覧
〜日本のマチュピチユを歩く〜 関西でいま話題の観光地は、京都でも奈良でもない。兵庫県朝来(あさご)市にそびえる古城山竹田城址である。夜の明ける前から観光客が訪れ、ついに入場制限までするブームになった。 春、夏の風景も雄大であるが、晩秋から初…
〜名物のぶりおこしの雷と丼の食べ比べ〜 能登の禅宗寺に行 く用があり、金沢から奥能登を旅した。5年ぶりの能登。前回は羽咋の気多神社と民俗学者、折口信夫の足跡をたどった。師走の旅だったので心づもりも装備も 充分だったから、空模様の変化にはあわて…
〜鐘と柿のなるなり法隆寺と中宮寺を訪ねて〜 秋は京都よりも奈良だ。人の波をかきわける賑わいに変わりはないが、奈良の風情は歩いていると、寂としながらほのぼのとした心のやすらぎがふくらみ、ぱち んと消えてはまたふくらむ。映画にするなら、遠く離れ…
小田原から鎌倉にかけての海岸は、相模湾の砂浜が続く。JR大磯駅から南西の国道1号線(旧東海道)に「鴫立沢」の名の交差点がある。地名ではなく、このあたりが西行の詠んだ歌ゆかりの地である伝承から、国土省が付けたようだ。 平安末期の 1127年(…
〜日本未確認動物はどこにいるのか〜 ツチノコの話は、いつもながら京都が発端である。昭和34年、一人の渓流釣りの男が北山の夜泣峠を歩いていた。突然、前を黒いものが飛んだ。蛇に似ているが、形は頭が大きく、初めてみる異様な姿に立ちすくんだ。 私 が…
〜小説「官僚たちの夏」と石炭の町〜 アベノミックス、アベコベミックスなど安部政権の信を問うた参院選は、マスコミの予想通りの結果に終わった。野党に「経済成長」の是非を問う論争を期待する方が無理だった。 今 回のセピア色の風景は、高度成長の入り口…
〜篝火に浮かぶ国盗り道三、天下布武の信長の戦国絵巻〜 鮎の季節である。琵 琶湖岸に住みながら、鮎釣りの経験はない。しいていうなら、5月頃、湖岸で稚鮎のひっかけ釣りは、何度か楽しんだ。友釣りは、勧められることはあったが、 実行にはいたっていない…
〜 弥勒と大魔神の太秦・大映通り〜 古い町名の多い京都で戦後生まれの町ながらなつかしい名前の町がある。 『大映通り』。日本映画のふるさとの道である。大映通りのある太秦には四条大宮から嵐電に揺られて、ゴトン、ゴトンの奏でる行進曲をバックに訪ねる…
夜、京をそぞろ歩く舞台を2つ上げなさい。仮に京都検定の問題に出たとするなら、即座に書ける場所がある。石塀小路と先斗町。共通するのは石畳。石塀小路はあやしげな下心がある時、誘うにふさわしい。京の夜の情緒を味わうのであれば、祇園よりも先斗町だ…
花吹雪が舞う京都の東山は5月を前に麓から薄緑に衣替えする。山頂へ向けて萌黄が駆け上る頃、京は祭の季節だ。葵祭。清少納言は枕草子「4月、祭の頃」の項で若葉の都を綴っている。 『祭 の頃はいみじうをかし(ことのほか趣きがある)。木々の木(こ)の…
〜重文屏風に描かれた豪華絢爛の絵巻〜 関 西の桜は九州、関東に比べて開花が遅く、ようやく見ごろを迎え、満開は7日前後になるだろう。歴史に残る最大の花見イベントは太閤秀吉の醍醐花見をおいて ない。千葉・佐倉にある国立歴史民俗博物館所蔵の「醍醐花…
==10数年共に過ごした愛猫「小太郎」への鎮魂歌== 旅立つ3時間前の小太郎 我 輩は10年余、世話になった旦那とママの家をあとにして雲の上、旅の途中である。黄泉の国を目指している。西方浄土の国だ。体調がおかしい、と、気づいた のは、昨年の秋頃で…
平 安朝において桓武死後、公卿たちはあわてた。桓武の存在が大きすぎて、皇太子時代の平城天皇とは距離を置いてきたからだ。桓武の寵臣だった参議〈公卿〉・ 藤原緒嗣もそのひとりである。緒嗣は、桓武に可愛がられ、異例の速さで昇進を重ねた。父、藤原百…
「謙譲の美徳」は孔子を始祖とする儒教に端を発している。飯能の帰りに、東京・湯島聖堂へ立ち寄った。JRお茶ノ水駅聖口から橋をわたり、右手の森の中に聖堂がある。徳川5代将軍、綱吉建立の孔子廟である。幕府の昌平坂学問所もあった。昌平坂は孔子の生…