第13回 篤姫ブームの南国への旅 その2 閲覧(461+557) 2008/03/10

キハ47で行く枕崎の本枯れ節讃歌


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 指宿午後一時十一分発の指宿枕崎線のキハ47形式ワンマン気動車は、海沿いを走ったか思えば、丘をのぼり、ススキの原をかき分けて進む。大きくカーブすると、前に開聞岳がそびえている。目まぐるしく変わる風景は、眠気もどこかに押しやり、窓にへばりつかせた。車内はちょうど学期末試験のためか、午後のダイヤなのに高校生の姿が目立つ。旅行客の興奮をよそに、高校生は見慣れた風景を相手にもせず、会話に忙しい。

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 鹿児島県内で十三両走るキハ47は客室と仕切りない運転席が特徴で、前降りのワンマンスタイル。運転席はバスの運転席のように仕切り棒しかなく、運転士が確認のための生の声が客席まで聞こえ、運転士の一挙一動に乗客の視線が集まる劇場型つくりの車両だ。 西大山駅に停車した。指宿枕崎線の駅は山川、西頴娃(えい)を除いて、キップは運賃箱に入れる無人駅になっている。日本最南端の表示があるプラットホームに立った。

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最南端の駅はかつて指宿だった。枕崎線の延長で隣の山川が北緯三一度一二分の最南端になり、西大山駅が山川から栄誉を引き継ぐのは、枕崎線が西頴娃まで延びた昭和三十五年以降である。山川と西大山の時刻表のダイヤは四分の差ながら、緯度の違いは一分の三一度一一分。西大山で最南端の駅と気動車開聞岳を入れた写真を撮りたくて下車した。次の列車まで時間がたっぷりある

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 春風を受けて、海へ歩く。開聞岳の眺めは、鹿児島湾からと東シナ海に面した海岸からの二通りがあり、鹿児島湾側からは薩摩半島の最南端の岬である長崎鼻からの眺めが最高と、折り紙がつく。弓状の砂浜がはるか、つきるところに、開聞岳がなだらかなすそ野を広げている。長崎鼻は、最初、あの長崎とゆかりのある地域名と考えたが、岬の突端に灯台があり、鳥が海へ向かって飛び立つくちばしに似ているので長崎鼻の地名がつく。

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 隣の山川の漁